【超レア】救急救命士が出動中に行う想起疾患に必要な2つのルール

管理人も行きたい

最近はスマホを格安SIMに変えたりと忙しくて更新が遅れました。

さて、できる救命士になるために第2弾です。

前回の記事では臨床推論を極めるための勉強方法を紹介しましたが、いかがだったでしょうか?

  • 前から知っていたよ
  • 何となく惰性でやってた事が言語化された
  • 目からウロコだった

色々な意見があるようで嬉しい限りです。

さて今回紹介するのは、現場に向かうまでに頭の中で行う思考回路です。

簡単に言うとイメージトレーニングのことですが、ここがしっかりと出来ていなければ現場に到着してから行う一連の臨床推論は全て後手に回ってしまいます。

つまり救急現場活動をより流動的に、かつスピーディーに展開するためには絶対に必要不可欠なパートになります。

市販のテキスト等には書かれていませんので、ぜひ参考にしてください。

現場活動の8割は出動中の思考回路で決まる

まず、これが超重要です。

日本で行われている教育やOff The Job Trainingをイメージしてください。

そこで教えらえるのは現場での活動シーンがメインですよね。

出動中に行うことの教育は皆無。

強いて言うならば、持っていく資機材の確認だとか感染防御の確認だとかはありますが、正直現場で活動する救急救命士にとっては当たり前のこと。

出動中の思考回路って実はとても重要で、全ての臨床推論はここから始まると言っても過言ではありません。

むしろ、このパートだけで1つの教育プログラムが成立できるくらい。

救急現場に行くまでの間に行うことは、

  • 限られた情報から、
  • Snap Diagnosisを駆使して
  • 疾患をいくつか想起しておく

ことでしたよね。

これについてはReflection Trainingで習得する事ができるので、前回の記事を見ていない方は先にそちらの記事をご確認ください。

以前に現場で使える勉強方法と国試対策は別物という記事を書きました。 救急救命士が臨床推論を苦手とする理由として、 教育を受け...

出動中にイメージする想起疾患にはルールがある

限られた情報を基に「疾患を想起する」ことの重要性はお分かり頂けたと思います。

ただし、これには2つのルールが存在します。

ルール1:緊急度と頻度

例えば、「10代女性の呼吸困難 友人通報」と聞けば、どんな疾患が頭に浮かぶでしょうか?

おそらくほとんどの方が「過換気症候群」を想起したはず。

そう。

頻度的には高確率で過換気症候群のケースが大半を占めると思います。

実はここがポイントです。

このケースで考えられる最も怖い疾患は何だと思いますか?

簡単に列挙してみましょう。

  1. 肺塞栓症(経口避妊薬の服用は?)
  2. 気管支喘息
  3. アナフィラキシー
  4. 痛みが先行して頻呼吸?(異所性妊娠など)
  5. 純粋な過換気症候群

いかがでしょうか?

つまり、現場に向かうまでに疾患を想起することはとても重要ですが、それと同時に順番が超重要です。

必ず緊急度が高い疾患から想起するように意識してください。

現場に着いて、第一印象がSickでなければそれでOK。

救急救命士に課せられているのは「緊急度が高い疾患をピックアップして適切な病院に搬送すること」ですから、結果的に軽症と判断される疾患をわざわざ優先して考える必要はありません。

大事なことは、

「●●を考えて評価したが幸いにも□□だった」です。

間違っても、

「□□と思っていたのにまさか●●だったとは・・」にならないようにして下さい。

確かに経験を積めば積むほど、「この通報内容からは△△が考えられるから大丈夫」と軽い方に見積もりしてしまう傾向が発生します。

それはそれ。

先ほども書いたように「怖い疾患をピックアップする事」が救急救命士の責務です。

また、頻呼吸になる前のイベントも重要です。

先ほど例に挙げた想起疾患「4番目」のように、何かしらの痛みが先行している可能性もあります。

特に若い女性の場合に考えるべき疾患の1つに「異所性妊娠」がありますよね。

現場に到着するまでは「ワーストシナリオ」を優先して想起する事が、後の現場活動にも直結します。

ルール2:年齢と性別から怖い疾患を挙げる

例えば「30代 男性 右側腹部痛 血尿」と聞けばどんな疾患を想起しますか?

多くの方が「尿路結石」をイメージしたと思います。

もちろん30代の方であれば頻度的にも尿路結石が多いでしょう。

次に「20代 女性 右側腹部痛」はどうですか?

色々な疾患が考えられますが、Fitz-Hugh-Curtis症候群を考えるべきでしょう。

では「80代 男性 右側腹部痛 血尿」ではどうでしょうか?

この場合、最初に想起すべき疾患は腹部大動脈瘤です。

お分かりのように、同じ主訴でも、年齢と性別によって考えるべき疾患は異なります。

当たり前のようですが、教えられる機会が少ないためこのルールを知っている救命士さんがあまりいない気がしています。

救急救命士にとっての想起疾患の重要性

救急救命士は医師ではありませんから、当然ながら診断はできませんし、その必要もありません。

それでも怖い疾患から想起疾患を挙げる必要性があるのは何故でしょうか?

その理由は、

  1. 現場滞在時間を短くするため
  2. 現場レベルでのアンダートリアージを防ぐため
  3. 適切な医療機関を選定するため

この3つが理由です。

そのためには、現場に向かうまでの思考回路が極めて重要です。

あくまでも現場に向かうまでは「軽い方に見積もる」のではなく、「緊急度が高いもの」からリストアップすることを心掛けて下さい。

このことを意識しておくだけで、全ての事が「想定の範囲内」として対応できるからです。

現場に到着して、結果的にSickでなければ、それはそれで傷病者のためですから。

次回は「現場に到着して行うこと」をアップします。

参考書籍

改訂 ERの哲人 第2版

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